住宅ローン2020年7月6日
『住宅ローン返済期間の考え方』
住宅購入は「人生で一番高いお買物」といわれています。
そして住宅を購入する、ほとんどの方が住宅ローンを利用します。
住宅ローンを利用するにあたり返済期間を何年にしたらよいのか迷いますね。
住宅ローンは30年・35年という長い間、返済の続く借金です。
返済期間中は、子どもの教育費の比重が重くのしかかる時期が必ず訪れます。
親が介護状態になり金銭的や時間的に、負担を感じることがあるかもしれません。
返済期間は何年にしたら「安心・安全に返済できるのか」考えてみましょう。
住宅ローンの返済期間と完済目標年齢は違います!!
30歳の方が住宅ローンを借ります。
定年が60歳だとして、定年までの30年間の借入期間にするか、借入期間最長の35年にするか迷いますよね。
30年ローンと35年ローンの比較を見てみましょう。
借入額:3,000万円 金利:1.3%(2020年5月フラット35金利) | ||
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借入期間 | 35年 | 30年 |
毎月返済額 | 88,945 | 100,681 |
毎月返済額 差額 | 11,736 | |
総返済額 | 37,356,558 | 36,245,144 |
総返済額に対する利息分 | 7,356,558 | 6,245,144 |
総返済額差額=利息分差額 | 1,111,414 |
毎月の返済額は30年ローンの方が11,736円高くなりますが、総返済額は1,111,414円低くなります。
計算上で見ると30年ローンで借りた方が比較した通り「お得」です。
ここで、今一度考えていただきたいことがあります。
それは「住宅ローンは安心・安全に返済していく」ことが重要だということです。
ローン返済中の30年or35年の間、家族の状況・家計の収支は現在と同じままでしょうか。
冒頭にお話しした通り、家族の状況は確実に変化します。
家を持つことによって発生する固定資産税や将来発生する家のメンテナンス費用を準備するための貯蓄、近い将来家族の人数が増える、子どもの成長とともに教育費がかかる、部活動や校外活動費の出費、食費の増額等、家計の支出は確実に増えていきます。
子どもの教育費が出せないから「教育ローン」を借りる、家のメンテナンス費用が出せないから「リフォームローン」を借りるとなったら、いずれも住宅ローンより高い金利の「新たな借金」が増えてしまうことになります。まさに本末転倒です。
そして、住宅ローンを完済した後には「老後の生活」が待っています。
住宅ローンはできるだけ長い期間を借りて返済額に余裕を持たせていくことが重要といえます。その上で、定年時に住宅ローンを完済する計画をたてましょう。
繰上返済を活用しよう
ここで繰り上げ返済についてお話しますね。
繰り上げ返済とは、まとまった資金を返済して元本を減らすことを指します。
繰り上げ返済の方法には下記2種類があります。
- ①期間短縮型=返済額を変えずに返済期間を短くする
- ②返済額軽減型=返済期間を変えずに返済額を少なくする
30歳時点で35年ローンを組みます。
35年間返済した場合と期間短縮型の繰上返済を利用して60歳定年時に完済した場合の比較を見てみましょう。
借入額:3,000万円 金利:1.3%(2020年5月フラット35金利) | ||
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借入期間 | 35年 | 30年後(60歳時)完済 |
毎月返済額 | 88,945 | |
30年後(返済360月)ローン残高 | 4,158,062円=一括返済をする(繰上返済) 資金準備の貯蓄額 4,158,062円÷360月=11,550円/月 |
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総返済額 | 37,356,558円 | 37,195,233円 |
総返済額に対する利息分 | 7,356,558円 | 7,195,233円 |
総返済額差額=利息分差額 | 161,325円 |
早く返したいからといっぱいいっぱいの住宅ローンを組んでしまうと、生活状況に変化が起こった時、経済的に押しつぶされてしまう危険性があります。
万が一、住宅ローン返済の滞納が続けば、マイホームは競売にかけられ住処を失ってしまいます。
繰上返済をするかしないかは任意ですので、繰上返済資金を貯蓄するゆとりがない期間は貯蓄額が少なくなっても、完済計画の変更で対応できます。
定年年齢が伸びている時代だからこそ(収入を得る期間が延びる)、余裕をもった返済計画をたてましょう。
返済期間は余裕をもって設定して「繰上返済を利用して、完済年齢は自分でコントロールをする」
ファイナンシャルプランニングを行い、「安心・安全に返済できる」返済期間・返済額を割り出そう!!
毎月の返済額が今の家賃と同じだから大丈夫
- 家計の収支は現在と同じ状況が続くわけではない
定年時には退職金があるから、それで住宅ローンを完済しよう
- 老後の生活資金が枯渇してしまう危険性がある
という漠然とした計画は危険です!!
住宅購入後の家族のライフイベントを考慮したファイナンシャルプランニングを行い、具体的な数字で返済計画をたてることをお勧めします。