住宅2022年11月11日
『24時間換気システムとは』
居住空間には常にきれいな空気を取り込みたい・・・窓を開けずとも室内の空気をきれいに保つための24時間換気システム。各ハウスメーカーでも空気の質を向上させる研究開発が進んでいます。
2003年に建築基準法改正が行われ、居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置として「シックハウス対策」が強化され、化学物質であるホルムアルデヒドに関する建材の使用制限・クロルピリホスの使用禁止とともに、「24時間換気システムの導入」が義務付けられました。
その背景は、かつて日本の住宅は通気性は良いものの気密性の低いものでしたが建築技術の向上により、暑さや寒さ対策のために高気密化・高断熱化になっていきました。その中で建材に化学物質を含むものなどを使うようになり、換気性能が十分でないことから化学物質とダニやホコリの影響によるシックハウス症候群が発症するといった体調不良が問題になりました。そこで24時間換気システムを取り入れることにより、1時間に居住空間の空気を半分以上入れ替えることが基準となりました。
換気の種類は給排気の仕方によって「第1種換気」「第2種換気」「第3種換気」の3種類に分けられます
第1種換気とは、排気・給気とも換気扇を使うシステムで24時間換気を適切に行うことができます。排出した空気の熱だけを再利用して給気側から再度取り込むことにより、24時間換気のせいで寒いということが少なくなることがメリットといえます。そのため寒冷地で多く採用されています。
第2種換気とは、排気は自然換気で行い給気は換気扇を使うシステムです。入ってくる空気の力が強く、出ていく空気の力が弱いため室内の気圧が高くなり、ドアや窓などを開けても菌や汚染物質が入りにくいというメリットがあることから研究所や工場などのクリーンルーム、病院の手術室などでよく使用されています。
第3種換気とは排気は換気扇で行い給気は自然換気で行うシステムです。室外へ空気を排出した分、給気口から自然に空気が入ってくるため排気・給気とも換気扇を使っている第1種に比べて消費電力が抑えられるメリットがあり、換気機種の価格も抑えられ一般的に住宅で使用されることの多いシステムです。
全館空調システムとの組み合わせや自然の通風を取り入れるなど、どの種類の換気システムを採用するかは各ハウスメーカーごとに違いがあります。24時間換気システムの使用で重要なことは、24時間365日つけっぱなしにすることと定期的な掃除とフィルター交換です。そのことにより空気を正常に保つためだけではなく、柱や梁といった住宅の主要構造部に使われる木材や金属の痛みや錆などを防ぎ、住宅の耐久性の維持も助けます。定期的な掃除とフィルター交換をしないでいるとファンの回転数が増しうるさく感じるようです。
では、換気システムを止めてしまうとどの様なデメリットがあるのでしょうか。
空気がよどみ、室内で発生する湿気も逃がさないため、室内で結露が発生します。そのことにより押し入れや目には見えないところでカビができたり、ダニやホコリの影響で人の健康を害し、家を傷ませることにつながってしまいます。
24時間365日つけっぱなしというと気になるところは電気料金ですが、24時間換気システムは省エネ性が高いものが多く、その分、月々の電気料金も数百円程度で済むようです。住む人の健康・家の健康を考えると、とても大事な24時間換気システムです。さらに、空気清浄機を組み合わせて使用することにより、花粉やハウスダスト、PM2.5やアレル物質、匂いなども抑制し安全で快適な住環境が整います。
