『木造VS鉄骨造  家を建てるなら木造と鉄骨造どちらがイイ?』
~それぞれの特徴から考えよう~

家を建てたいと思った時、耐震性や耐火性・建築コストなど木造住宅にするのか鉄骨住宅にするのか迷うところです。どちらにするのか迷うところですが、まずはそれぞれの特徴を知ることが大切です。ここではその特徴についてご紹介します。

はじめに、構造とそれぞれの特徴を見てみましょう。

構造 工法 特徴
木造 軸組工法 木造軸組工法(在来工法)
基礎に土台をのせ、柱や梁などの水平の軸材を組んで骨組みをつくり、補強のため筋交いという斜めの木材をいれて建物を支える工法。
軸組工法の軸と軸の間に耐力壁としてのパネルを張り付ける。より強度は高まる。開口部が広くとれ設計の自由度も高い。
壁式工法 2×4(ツーバイフォー)工法
北米から日本に輸入された工法。日本での正式名称は「枠組壁工法」。2×4インチの断面製材で枠を組み、それに構造用合板を張ってパネル化し壁を構成。この壁・床・天井・屋根の面で全体の躯体を構成する。
耐震性(パネルの強度)・断熱性(躯体が箱型)・耐火性に優れている。
2×6・2×8・2×12・4×4の断面製材も使われている。
木質パネル工法
木質系のプレハブ住宅や一部の輸入住宅にも使われている工法。
耐力壁によって建物を支える。複数の層や強化された木質のパネルそのものが耐力壁を構成する。
鉄骨造 戸建て住宅は鉄骨造の中でも軽量鉄骨造が大半を占める
鉄骨軸組工法 軽量鉄骨軸組(厚さ6ミリ未満の鉄骨)
木造軸組工法の木材を鉄骨に置き換えたもの。柱と梁を縦横に組み、筋交いを斜めに渡した壁で建物を支える。鉄骨の筋交いをブレースというため「ブレース構造と」もいう。外壁にはサイディングや軽量気泡コンクリートパネルなど様々な部材が用いられる。耐久性・耐震性に優れている。大空間がとりやすく、プランニングの自由度が高い。家族構成の変化に合わせて、リフォームを行いながら長く住み続けることが可能。
ユニット工法 軽量鉄骨ユニット工法(厚さ6ミリ未満の鋼板)
工場で鉄骨の柱と梁によるボックス型のユニットを作り、外壁や窓、天井の下地材、断熱材など建具・設備まで取り付ける。それを建設現場まで運び、クレーンを用いて組み立てる。
工期が2か月足らずと最も短い。
ラーメン工法 重量鉄骨ラーメン工法(厚さ6ミリ以上の鋼板)
ラーメンとはドイツ語で「枠」の意味。重量鉄骨で柱・梁・床スラブ・耐力壁で躯体を形成する工法。接合部は溶接したり、ボルトでしっかり固定されているのが特徴。
鉄筋コンクリート造 ①コンクリート一体壁式工法(コンクリート現場打ち工法)
鉄筋を網の目のように組み、枠をコンクリートを固めて造る。非常に強い構造体。
②プレキャストコンクリート(PCパネル工法)
工場で作られたコンクリートパネルを建設現場で接合して構造体を造る工法。工期の短縮が図れる。

それぞれの構造の特徴から見る「木造VS鉄骨造」

  木造 鉄骨
間取りの自由度 柱や壁を多くし、建築基準法で定められている耐震性を満たす必要がある。そのため壁一面の大きな窓・広いリビング・吹き抜けなど開放感のある間取りは難しい。木造でもこれらを実現可能としているハウスメーカーもある。 建物の主要部分に強度の高い鉄骨を使用するので、建物を支えるための柱や壁が少なくて済む。それにより壁一面の大きな窓・広いリビング・吹き抜けなど開放感のある間取りが実現可能となる。
断熱 木は断熱性や調湿性が高い。高い断熱性により夏は涼しく冬は暖かく過ごせる。また高い調湿性は結露やカビの発生を抑えてくれる。木は日本の気候に適した材料といえる。 柱と梁だけで成り立たせる構造上、壁は空間を仕切るだけの薄いものとなるため、断熱対策が必要。
耐震性 木造の建物は同じ大きさの他の構造の建物に比べ、揺れが小さくなるという特徴がある。建物を支える筋交いや耐力壁などにより地震に耐える構造になっている。また各ハウスメーカーでは研究・実験を重ね木材をつなぎ合わせる耐震金物の進化など開発に余念がない。 鉄や鋼の粘りにより地震に耐える構造になっているため、地震の力が加わってもその粘りによって、しなり変形するため、倒壊しにくい。また各ハウスメーカーでは研究・実験を重ね、より耐震性が強固になる開発に余念がない。
耐火性 木材は表面からゆっくり燃え炭化していくので急激に強度が落ちることはない。その炭化速度は1分間に0.6ミリ~0.8ミリ。消火までに15分かかるとして9ミリ~12ミリしか炭化しない。120ミリ角の柱の場合、100ミリは炭化しないため柱や梁が倒壊してしまう心配はない。 ひとたび住宅火災が起こると、その燃焼温度は1200℃に達するが、鉄は熱に弱く700℃の熱で耐火力ゼロとなってしまう(曲がってしまう)。鉄骨には耐火被覆を施し火災の熱にも耐えるようにする。
施工技術による建築品質の完成度 ハウスメーカーの場合、自社工場で生産した部材や構造体を現場に運び、家を建てていくため一定の品質が保たれる。組立てる工程もマニュアル化されているため施工技術に左右されることががない。手抜き工事や欠陥が少なくなる。 鉄骨造の部材や部品は工場で一律生産している。それを工場で一定部分まで組立て、現場で組み合わせて完成させていくため、施行技術に左右されることががない。手抜き工事や欠陥が少なくなる。
建築コスト 鉄骨造に比べ材料費が安くコストを抑えられる傾向にある。選ぶ木材の種類などにより高コストになる可能性がある。 木造に比べてコストは高い傾向にある。
木造に比べ鉄骨造は材料費が高く、鉄骨の単価が高騰するとその分の建築費が上がる。
 
鉄骨造の建物は木造と比べて建物の重量がかなり重いため土地の地盤が弱い場合は地盤改良工事をして地盤んを強化する必要が生じるため地盤改良費用がかかる。
火災保険料 火災保険は構造によって割引率が異なり、木造は鉄骨造に比べ火災保険料が高くなる。 火災保険は構造によって割引率が異なり、鉄骨造は木造に比べ火災保険料が安くなる。

いかがでしたでしょうか。
木造住宅のハウスメーカーも鉄骨住宅のハウスメーカーも常に研究をし、豊富なデータを基に商品開発を行っています。その結果、どちらもZEH仕様やHEMS・IOTの導入を含め、耐震性・耐火性・断熱性・気密性・省エネ性・防火性・防犯性に優れた住宅を提供しています。建物の仕様だけでなく各ハウスメーカーのアフターメンテナンスの計画やアフターメンテナンスにかかる費用を含めた家を維持するためのランニングコストも考慮して木造にするか鉄骨造にするか決めることをお勧めします。

併せてお読みください
『地球環境にやさしい住宅・・・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とゼロ・エネルギー実現のためのHEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)』

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