外壁材の種類とそのメリット・デメリット・メンテナンス周期 |
サイディング |
- 外壁に貼る仕上げ用の板材のこと
- 工場であらかじめ成型された板(サイディングボード)を壁に貼っていくことにより外壁が完成する
- 壁の広さに合わせてサイディングボードをカットし、それぞれの隙間を埋めることにより雨水の侵入を防ぐ
- 工場生産のため品質が安定している
- 工事価格が他の外壁材より安い
- 種類、デザインが豊富
- サイディングを使用している住宅が全体の70%~80%を占める
サイディングの種類は4つ 窯業系サイディング・金属系サイディング・木質系サイディング・樹脂系サイディング |
窯業(ようぎょう)系サイディング |
特徴 |
- サイディングの中でも特に普及している
- セメントと繊維質を混ぜ合わせたものをボード状に成型したもの
- 他の外壁材に比べ重量が軽い
- タイル調やレンガ調などバリエーションが豊富
|
メリット |
- 耐震性に優れている
- 耐火性に優れている
- 工期が短い
- コストパフォーマンスが良い
⇒初期費用が安い
|
デメリット |
- 防水機能を高めるためにサイディングボードの隙間を埋めるため、シーリングを施すが、シーリング材の目地が劣化すると浸水する危険性がある
|
メンテナンス |
|
金属系サイディング |
特徴 |
- ガルバリウム、アルミニウム、ステンレスなどの金属でできたサイディングボードを壁に貼り付けた外壁
|
メリット |
- 断熱性が高い
- ひび割れしないので強度が高い
- 軽量で耐震性に優れている
- 軽量のため施行しやすく、工期も短いので工事費用を抑えることができる
|
デメリット |
- 窯業系サイディングより価格が高い
- サビやすく傷つきやすいため定期的な塗装メンテナンスが必要
- デザインが限られる
|
メンテナンス |
- 10~15年程度
- 20年程度メンテナンスフリーのハウスメーカーもある
|
木質系サイディング |
特徴 |
- カラマツやレッドシダーなどの無垢材や集積材でできたサイディングボードを壁に貼り付け、その上に塗装を施した外壁
|
メリット |
- 木の風合いや模様が楽しめる
- 見た目に重厚感がありデザイン性も高い
- 断熱性に優れている
|
デメリット |
- 経年劣化により防水性が失われていくため、定期的なメンテナンスが必要
- 指定された防火地域では、木質系サイディングは使用不可
|
メンテナンス |
|
樹脂系サイディング |
特徴 |
- 日本ではあまり普及していないが、北米では人気の外壁材
- 塩化ビニル樹脂を主原料とした薄い板状の素材
- シーリングを使わない施工が可能なためメンテナンスの手間が少ない
- 樹脂は劣化しにくいため塩害、凍害に強い
|
メリット |
- 防水性に優れている
- 耐久性が高い
- 素材が軽く耐震性に優れている
- 外壁材に色が練りこまれているため、塗装が剥げるといった劣化が発生しない
- 塩害・凍害に強い
|
デメリット |
- 日本ではあまり普及していないため、施工できる業者が少ない
⇒工事費用が割高になりやすい
- 選べる色・柄のバリエーションが少ない
|
メンテナンス |
- 耐用年数は25~30年
⇒定期的なメンテナンスはほとんど必要ない ⇒目地にシーリング材を使っている場合にはおよそ10年ごとのメンテナンスが必要
|
タイル |
特徴 |
- 土や石、粘土などの素材が主原料
- 素材を1200~1300度の高温で焼き固める
- 外壁に用いられるタイルは「磁器質」「せっ器質」の2種類
- 傷がつきにくく、経年劣化や変質もほとんどない
⇒初期費用は高いがトータルコストは抑えられる
|
メリット |
- 高級感のある外観
- 耐久性に優れている
- 耐火性に優れている
- 防音性に優れている
- 汚れがつきにくい
⇒水洗いができる ⇒磁器タイルはセルフクリーニング機能を持ち、汚れがつきにくく、雨によって汚れが洗い流される ⇒ハウスメーカーによってはタイルに光触媒技術を施しセルフクリーニング機能を有している
|
デメリット |
- 初期費用が高い
⇒メンテナンスフリーのためトータルコストは抑えられる
- 剥離・落下の危険性
⇒年数がたっても適切な素材と正しい施工がなされていれば剥離・落下の危険性はほとんどない
- 重量があるため耐震性の低下
⇒重量があるため構造体に負荷がかかる ⇒負荷に耐えうる構造体にする必要がある
|
メンテナンス |
- メンテナンスフリー
⇒目地部分のシーリング材はひび割れや劣化が起こりやすいため定期点検と必要に応じた補修を行う
|
天然石材 |
特徴 |
- 大理石・御影石・コーラルストーン・錆バラを壁に貼り付けた外壁
|
メリット |
- 高級感のある見た目
- 耐久性に優れている
⇒メンテナンスの手間がない
- 耐火性に優れている
- 耐熱性に優れている
|
デメリット |
- 耐震性の低下
⇒重量があるため構造体に負荷がかかる ⇒負荷に耐えうる構造体にする必要がある
- 工事価格が高い
⇒原価が高額である ⇒運搬に費用がかかる ⇒取付工事に人手が必要
|
メンテナンス |
|
ALC(軽量気泡コンクリート) |
特徴 |
- 珪石、セメント、生石灰などが主原料になりALC内部に気泡を含んでいる
- 重量は通常のコンクリートのおよそ4分の1程度
- 施行には耐震性を有する構造体が必要
|
メリット |
- 断熱性に優れている
⇒内部に気泡があるため
- 耐火性に優れている
- 耐震性に優れている
- 遮音性に優れている
⇒内部の気泡が音を吸収する ⇒騒音のある環境でも住宅内部に音が伝わりにくい
- 耐久性に優れている
⇒ALC外壁を適切な条件で使用し、定期的なメンテナンスを行った場合、ALCパネル自体の耐用年数は50年といわれている
|
デメリット |
- ALCパネル同士のつなぎ目が多い
⇒雨漏りリスクが高い ⇒シーリング材でしっかりと埋める
- 防水性が低い
⇒主成分がコンクリートであるため吸水性が高い ⇒内部の気泡部分に雨水が侵入してしまうと、膨張やひび割れの原因となり修復が難しくなる ⇒防水塗料で塗装を施し防水性を高める ⇒ハウスメーカーによっては開発された塗料の仕様により、60年に1度の塗り替えで済むが、何らかの原因で防水塗膜がはがれてしまい 浸水してしまううといったことを防ぐために防水塗膜の定期点検は必要
- 他の外壁に比べ価格が高い傾向にある
|
メンテナンス |
|
プレキャストコンクリート |
特徴 |
- 工場で搬入可能な形状や大きさに形成され現場に搬入し組立てられる
⇒現場で打設するコンクリートに比べ、品質が安定し強度も高い
- コンクリートであるため、鉄筋コンクリート同様、強度的にも非常に優れた外壁材である
⇒強度はALCパネルの10倍にも及ぶ
|
メリット |
- 最高級の外壁材ともいわれている
- 強度的に非常に優れている
- 断熱性に優れている
- 遮音性に優れている
- 耐震性に優れている
- 耐火性に優れている
- 耐久性に優れている
⇒メンテナンスの頻度が少なくて済む ⇒トータルコストが抑えられる
- 見た目に重厚感がある
- 複雑なデザインが可能
|
デメリット |
- 初期費用が高い
- 重量があるため構造体に負荷がかかる
⇒負荷に耐えうる構造体にする必要がある
- プレキャストコンクリートパネルの接合部にシーリングを施すが、シーリングからの漏水に対するリスクは鉄筋コンクリートよりも高くなる
⇒シーリング部分のメンテナンスが必要
- 施工できる業者が限られている
|
メンテナンス |
- 目地シーリングは10~15年くらいで打ち換え補修
- 限られたハウスメーカーで開発されたコンクリートでは高圧洗浄のみで20~30年きれいに保たれる
|
モルタル(塗り壁) |
特徴 |
- 窯業系サイディングの次に高いシェア率の外壁材
- 砂とセメントを練り混ぜた素材、上から塗装をして仕上げる
- 現場で左官職人が手作業で施工(塗る)するため、手間がかかり価格はサイディング系の外壁より高めになる
- シーリングは使用していないため、シーリングのメンテナンスは必要ない
⇒ただしモルタル外壁は経年劣化や乾燥、湿気などによりクラック(ひび割れ)を起こしやすい ⇒直ちに補修工事をすることで雨水の侵入を防ぎ、構造部分も守ることができる
|
メリット |
- 質感が良く、高級感が出る
- 仕上げに自由度がある
⇒リシン=細かく砕いた石や砂に樹脂やセメント、着色剤を混ぜたものを外壁の仕上げに塗る ⇒スコッタ=モルタル外壁の表面に模様をつける方法 ⇒吹付タイル=モルタル外壁の仕上げの方法 ⇒ハウスメーカによっては、仕上げ材塗料に砂、貝殻、珊瑚などが混ざっており、それを吹き付けることによってキラキラと光り 独特な高級感のあるモルタル外壁を施している
- メンテナンスの費用は安い
|
デメリット |
- 価格が高い
- 施工に手間がかかる
- 職人の技術に仕上がりが左右される
- 経年劣化しやすい
- クラックが起こりやすい
|
メンテナンス |
- およそ10年ごと
⇒定期的にメンテナンスすることにより30年以上持つ
|